内省的な繊細さと抒情的な透明感が、静かに心に響くノルウェーのバンドCold Mailman

個人的には初期のDeath Cabに通ずる凛とした切なさが超ツボで、年甲斐もなくウルウルと胸を熱くしていたのですが、今年偶然Vimeoで見たMy Recurring Dreamという曲のPVが、とにかく素晴らしくて、ちょっとご紹介。

何度も繰り返される夢/現実の表層を抗うことなく受容し、その奥に潜む深遠な真実の純粋さを信じる・・・そんな内容の美しい歌詞が淡々と切々と繰り返され、そこにシューリアルでありながら、どこかノスタルジックで、私達の深層心理に強く働きかけるような映像が紡がれるこのPVは、同じくノルウェーの映像監督André Chocron氏によるもの。

延々と終わらない拷問のような人生、繰り返される人生の悲劇と喜劇、すべてのあらゆる事象が宇宙のしくみの本質を体現化しながらも、それらのどれもが、あまり大した意味など持たない。私たちはこの永遠に終わらないループする人生の囚人にもなれるし、一瞬一瞬の奇跡に魂を震わす巡礼者にもなれるし、すべてを網膜の画像処理の対象として捉える傍観者にもなれる。

そんな世界観に満ち満ちたこの曲とPVに、なんとなくドニーダーコやマルホランドドライブを思い出したりしながら、映像の一コマ一コマに、何故かとても懐かしいような気持ちになり、切なさに心を震わせ、子供の頃のような邪心を持たない純真な瞳が甦ってくる。

願わくば、自分の鼓動が止まる最後の瞬間まで、この瞳を失わずに、この世界を生きていきたいな・・・、なんて思ったら涙がハラハラと溢れてきた。